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第23話
コツをつかんだら、
コツを忘れよう!

大学を卒業して就職したばかりの頃、
会社の上司や先輩とのつきあいで、少しだけゴルフをやったことがあります。
その頃、仲のいい友だちもゴルフを始めたので、
一緒にときどきゴルフ練習場に行っていました。

そんなある日のことです。
下手くそな若造を見るに見かねたのか、
知らないオジサンが近づいてきて、
頼んでもいないのに、僕らにスイングの指導をしてくださいました。
いわゆるどこにでもいる「教えたがりオジサン」でした。

「グリップはこう」「ワキはこう」「頭の向きはこう」「足の開き方はこう」
と、いろいろな「コツ」を教わりました。
ところが、オジサンの指導自体はありがたかったのですが、
素人の僕は頭の中がこんがらがってしまい、すぐには上手に打てませんでした。

なぜそのとき上手く打てなかったのでしょうか。
それは、いくつもの「コツ」を意識するあまり、
かえって余計なところに力が入って、バランスをくずしたのだと思います。

こうしたことは、ゴルフだけの話ではなく、
これまでこのメルマガで述べてきた「文章のコツ」でも同じといえます。
いくつかのコツを強く意識しすぎると、
それに気をとられて内容を深く考えられず、
窮屈でつまらない文章になってしまうかもしれません。

コツは、反復練習によって身体に染み込ませることが肝要です。
一つひとつのコツを意識しなくても、
自然にバランスよく複数のコツが発揮されているのが理想の状態であり、
そういう意味では、スポーツも文章もよく似ていることになります。

ですから、毎日少しずつでも書き続けて、書き慣れていくことが大切です。
そのうちに、わざわざコツを思い出そうとしなくても、
身体の中からにじみ出るように、自然に良い文章が書けるようになります。

「コツをしっかりと身につけたうえで、意識の上ではコツを忘れていながら、
自由自在にコツを発揮して文章が書ける境地」を、
私自身も目指していますし、
皆さんも目指していただきたいと思います。

◆ヒント&ポイント◆
「毎日少しずつでも文章を書いて、コツを身体に染み込ませよう」
「コツを意識しないで、自然にコツが発揮できている状態が理想である」

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