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第31話
表記を統一しよう!(Part 1)

前回、ローマ字のお話の中で、
「表記の仕方を統一する意識を持つことが大切である」と述べました。
文章を書くうえで、ローマ字以外にも表記を統一すべき要素がありますので、
いくつかご紹介したいと思います。

1)漢字
どの言葉を漢字にして、どの言葉を平仮名で表記するかは、
一つの文章、一つのシリーズものの中では、できるだけ統一します。
何らかの意図がある場合は別にして、同じ言葉の表記がバラバラだと、
読者に散漫な印象を与えてしまう可能性があるからです。

漢字か仮名かを選択する際には、
文章の目的や対象とする読者層を考慮する必要があります。
子ども向けの文章にあまり難しい漢字は使えませんし、
学術論文などでは、必要に応じて難解な漢字も使わざるを得ないでしょう。

内閣が告示している「常用漢字表」にある漢字かどうか、という基準で、
漢字にするか平仮名にするかを選択する方法もあります。
私は日頃、『岩波国語辞典』を使っていますが、この辞書の場合、
漢字表記の部分に何も印がなければ「常用漢字表にある」、
△印があれば「常用漢字表にあるが、音訓欄にその音訓が取り上げられていない」、
×印があれば「常用漢字表にない」、
と決められており、常用漢字かどうかを調べるのに適しています。
常用漢字表にない漢字を含む言葉でも、
平仮名で書くと、かえって読みにくくなることがあります。
その場合は、振り仮名(ルビ)をつければよいでしょう。

2)振り仮名
振り仮名のつけ方としては、
「すべての漢字につける(総ルビ)」、
「常用漢字表にない漢字だけ、文章の最初に出てきた箇所につける」、
「まったくつけない」、
といった方法があります。
やはり、文章の目的や対象とする読者を考慮して、最適な方法を選びます。
電子メールなど、振り仮名をつけられない媒体の場合は、
難しい漢字の直後に、振り仮名を括弧でくくって表記してもよいでしょう。
(例)「漢字(かんじ)」

3)送り仮名
送り仮名も、やはり統一すべき要素といえます。
ライターが出版社から原稿作成を依頼される際、
送り仮名の表記の仕方を細かく指示されることもあります。
例えば、「行なう」と「行う」、「捕らえる」と「捕える」、
「問い合わせる」と「問合せる」などのように、
送り仮名のつけ方が複数許容されている言葉がありますので、
両者が意味なく混在しないように気をつけてください。
また、「行なう」という表記を選ぶなら、
他の言葉も、「捕らえる」「問い合わせる」という具合に、
送り仮名のつけ方のパターンまで統一するようにしましょう。
読者の目には、「きちんと言葉が整理された文章」と映るはずです。

◆ヒント&ポイント◆
「きちんと言葉が整理された文章を書くためには、
漢字にするかしないか、振り仮名をつけるかどうか、送り仮名はどうするか、
といった要素を統一することが大切である」

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