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第20話
論旨をうまく伝えよう!(Part 1)
文章は、いろいろな目的で書かれるものですが、
おそらくほとんどの文章に共通しているのは、
「書き手の意図・意思を読み手に伝達する」ことではないかと思います。
文学にせよ、ビジネス文書にせよ、評論にせよ、電子メールにせよ、
書き手が伝えたい内容が読み手に伝わり、理解されなければ、
文章はその目的を達成することはできません。
ところが、伝えたいことをきちんと伝わるように、
言葉だけで表現するのは、案外難しいものです。
自分の文章を他人が読んで、自分が意図していない意味に解釈されたり、
伝えたかったことがうまく伝わらなかった、
という経験は、誰にでもあると思います。
直接対面して話せば、難無く伝えられる内容でも、
文章となると、顔の表情や声の調子は当然伝わらないし、身ぶり手ぶりも使えません。
読んだ瞬間の相手の反応もわからず、相手の疑問にも即座に答えられないために、
どうしても伝達が不十分になってしまうのです。
では、書き手が伝えたいこと、論旨をうまく伝えるには、
どうすればいいのでしょうか。
伝わりにくい文章の特徴をいくつかあげて、対策を考えてみましょう。
1)説明が不足しているケース
書き手としては「これで充分伝わるだろう」と思っていても、読み手にとっては、
「何がいいたいのか、説明不足でわかりにくい」文章になっていることがあります。
これは、書き手と読み手との「知識の差」「経験の差」「常識の違い」
「何をもって『当たり前』と感じるか、という基準や意識のズレ」を、
書き手がきちんと把握していないことが原因となって発生します。
まず、「自分の当たり前」と「他人の当たり前」は、かなり食い違っている、
という現実を、これまで以上に強く意識することが、改善の第一歩となります。
言い換えれば、「自分の当たり前」に、勇気を持ってメスを入れるのです。
具体的には、自分が書いた文章を読み返すとき、
「読む人は、この言葉の意味を知っているだろうか?」
「この言い方で、伝えたい状態を『リアルに想像』できるだろうか?」
「知識や経験の裏付けがないと理解できないような、不親切な言い方になっていないだろうか?」
「自分では常識のつもりで書いているが、本当に誰でも知っている常識なのだろうか?」
「あまりにも唐突に話題が転換していないか(論理の飛躍)」
などと疑ってみます。
また、周囲の人に、「この書き方で理解できますか?」
と尋ねてみるのもよい方法です。
そして、説明が足らない箇所に気づいたら、よりわかりやすい表現を工夫します。
例えば、
・難しい言葉を、平易な言葉に置き換えてみる。
・さらに詳しい状況説明を書き加える。
・自分がなぜそう考えるようになったのか、その背景を説明する。
・話題があちこちに飛ばないよう気をつけて、順序立てて説明する。
といった点に留意すると、文章を修正する方向性が見えてくると思います。
過剰に説明しすぎると、かえって論旨がわかりにくくなる可能性がありますが、
説明が不足しているよりは、読者の理解度が高まるのは間違いありません。
◆ヒント&ポイント◆
「文字だけでわかりやすく伝えるのは、案外難しい作業である」
「自分の『当たり前』を疑い、読み手が理解しやすい表現を工夫する」