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第19話
業界用語=宇宙語?

世の中には多種多様な業界があり、
各々の業界内で使われる「業界用語」があります。
仕事に限らず、学問や趣味の世界でも、
たくさんの「専門用語」が使われています。

私たちは、何らかの業界に属して働いたり、
趣味を含む特定の専門分野にかかわって生活しており、
業界用語や専門用語を使って、仕事関係者や仲間と会話をしています。
つまり、そうした用語を当たり前のように話す習慣が、
知らず知らずのうちに身についているのです。

しかし、この習慣は、文章を書くうえで障害となってしまいます。
なぜなら、業界内でしか使われていない業界用語や、
特定のジャンルの専門用語をそのまま記述すると、
世の中の大多数の人にとって、意味のわからない文章になる可能性があるからです。

例えば、私が働いている出版・編集業界では、
「ルビ」「ノンブル」「柱」「念校」「平体」「長体」「表ケイ」「裏ケイ」
といった用語を用いて編集作業を行ないます。
これらの専門用語は、業界と無関係な人にとって、
ほとんど意味不明であると考えられます。

もちろん、同業者や、共通の趣味を持つ人との間でやりとりされる文章なら、
専門用語を用いてもまったく問題ありません。
あるいは、小説の登場人物の台詞の中では、
専門用語を使わないと、かえって不自然になるケースもあるでしょう。
この場合は、台詞以外のどこかでさりげなく説明すればいいと思います。

これに対して、自分のホームページに掲載したり、
新聞や雑誌に投稿する文章などは、
不特定多数の人の目にふれるわけですから、
「大多数の読者が理解できる言葉なのかどうか」
という点に配慮しながら、慎重に用語を選ぶ必要があります。
どうしても専門用語を使わざるを得ないときは、
手短で構いませんから、前後に説明を書き加えてください。
それだけで、読者の理解度は格段に向上します。
いずれにせよ、普段なにげなく使っている専門用語や業界用語は、
かなり高い確率で通用しない、という意識を持ったほうがよいでしょう。
知らない人にとっては、まるで宇宙人の言葉のように感じられるものです。

◆ヒント&ポイント◆
「特定の『業界用語』や『専門用語』は、一般的には通用しない場合が多い」
「どうしても専門用語を使わなければいけないときは、手短に説明を加える」

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