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第09話
深呼吸をしよう!
「『8割』の力でプレイしたとき、スポーツは最も良い記録が出る」
という実験を、テレビで観たことがあります。
細かい内容ははっきりと覚えていませんが、
例えばテニスなら、「全身の力を振り絞って打ったサーブ」と、
「8割の力を意識して打ったサーブ」を比較すると、
8割の力で打ったほうが球速が速く、コントロールも良くなる、
といったお話だったと思います。
このとき、「スポーツ選手と物書きには共通点があるな」と感じました。
なぜなら、以前から私は、
「『8割』の集中度合になれたとき、文章は最も速く上手に書ける」
と考えて、その状態を維持できる方法を工夫していたからです。
ライターの仕事をしていて、いちばん心臓に悪いのは、
締め切りが間近に迫っているのに、
調子が悪くてなかなか書き進めない(=集中度合が上がらない)、あるいは、
煮詰まってしまって気ばかり焦っている状態(=集中しすぎて力んでいる)、
といえます。そんなときは、いろいろな方法を使って、
「8割の集中度合」に持っていけるようにします。
いちばん手っ取り早い方法は、「深呼吸」です。
ちょっと深く息をするのではなく、大げさに言えば、
座禅を組むくらいのつもりで、目を閉じて大きくゆっくりと深呼吸をします。
それでもダメなら、家の中や周辺を歩き回ります。
京都の「哲学の道」は、哲学者の西田幾多郎さんが、
歩きながら思索にふけった場所と言われていますが、
「歩く」という動作も、集中力を整えるのに意外と効果があるものです。
ここから先は、私個人の思い込みの世界をご紹介しましょう。
「コーヒーではなく、『紅茶』を飲むと安定した精神状態になる」
「この曲を聞けば必ず仕事がはかどる、と信じている1枚のCDがある」
もちろん、これらは思い込みに過ぎませんが、良い原稿を書くためには、
どんな方法でも利用する価値があると思っています。
要は、「焦る気持ちを消し去って、リラックスしながら集中できている状態」が、
文章を書くのに最も理想的なコンディションといえます。
これも、ライターの経験を通じてつかんだコツの一つなのです。
◆ヒント&ポイント◆
「『8割』の集中度合が、文章を書くのに理想的な状態である」
「思い込みでもいいから、集中力を整えられるジンクスをつくる」