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第07話
引き算のお話(Part 2)
ごく大雑把に言って、日本語のセンテンスは、
「主語」と「述語」の組み合わせで成り立っています。
学校で作文の書き方を習ったときも、おそらく、
「主語と述語をきちんと書くように」と教えられたはずです。
もちろん、この法則自体は正しいのですが、さまざまな文章を読んでいると、
「主語が省略されたセンテンス」が、意外に多いことに気づかされます。
実は、この文章の二つめのセンテンス(「学校で作文の~」)も、
「私たちは」という主語を省略してあります。つまり、
「主語がなくても文章は成り立つ」
という厳然たる事実が存在するのです。
これは、日本語の特徴の一つと言ってもよいでしょう。
ある程度の範囲内なら、主語を省いても、
前後の文脈や述語部分から主語を類推できるため、何ら問題は発生しません。
ここで、再び「引き算」が登場します。
前回、「そして」「すると」といった「さ行の言葉」を削ると、
文章が引き締まってリズムがよくなる、とお話ししました。
同様に、余分な主語を削れば、文章が凝縮されてシャープになります。
下の例文を読んでみてください。
私は高原の清々しい空気を味わいながら、湖畔を散歩した。空は高く~
高原の清々しい空気を味わいながら、湖畔を散歩した。空は高く~
いかがでしょうか。「私は」を省いても文は成立しています。
「彼は」に置き換えても通じるのでは、 と思われるかもしれませんが、
前後に文章があれば、主語が誰かを間違うことはないでしょう。
「省略できる主語がある」ということを覚えておいてください。
◆ヒント&ポイント◆
「主語を省いても文章は成り立つ」
「文意が通じる範囲で主語を削り、ぜい肉のない文章に仕上げる」