本にイラストをつけてみたい。

本のイラストには、表紙カバーに使用される「装画」、本文中に使用される「挿絵」、絵本の「絵」などがあります。物語の世界観を広げたり、言葉だけではイメージしづらい状況を瞬時に伝えたり、親しみやすい印象に仕上がったり…。今回は本のイラストをどのように用意すればいいのか、詳しくご案内します!

イラストを依頼するには?

誰かにイラストを依頼する場合は、完成してから「イメージと違う」ということにならないよう、できるだけ具体的にイラストの内容を考えましょう。登場人物の身長や体形などの容姿、街並み、小物の形…イラストに入る要素は本文と一致していることも大切です。うまい下手は別として、自分自身で一度簡単に描いてみると、人物の設定やポーズなど、依頼に必要な情報が見えてくると思います。

表紙カバーのイラスト

表紙カバーは本の「顔」といえる部分。本の注目度を左右する場所だけに、著者自身がこだわって作るほか、プロや友人に依頼するケースも多いです。本の内容や魅力が伝わるイラストを用意することはもちろん、書名や著者名、帯、バーコードなど、本として完成したときに必要な要素を考えながら描く必要があります。
また、印刷の際、実際に印刷されるスペースに加えて、3㎜の「塗り足し」という範囲を背景に追加しておく必要があります。これは印刷された用紙をまとめて裁断する際のズレにそなえてのものですが、さらにレイアウトを調整するために20㎜ほど広めに描いておくと安心です。

挿絵が本当に必要か?

本文の挿絵については、「余白部分を埋めるために挿絵を入れたい」という方も多いのですが、本に入れるということは重要な役割があるはず…と深読みするのが読者のサガです。作品にとってあまり必要のないイラストを無理に入れると、読者が混乱することもありますので、挿絵が本当に必要かどうか、じっくり検討しましょう。空白は目休めになるので、無理に埋める必要はありません。
絵本の場合は、文章が入る位置を考えながら、イラストを描く必要があります。絵のサイズは実際に印刷するサイズと同じか少し大きく描きましょう。レイアウトの際に調整できるよう、背景を20ミリほど広めに描いておくとGOOD。また、見開きでイラストを描く場合、中心部分は「ノド」は本を綴じる部分にあたり、製本の際、一緒に綴じ込まれてしまいます。このことをふまえて、中央部分には重要な要素が入らないよう気を付けることが大切です。

イラスト制作の注意点

上で紹介した内容もありますが、イラスト制作の注意点を下記にまとめました。ご参考ください。

●塗り足し

印刷を行った用紙を何枚も重ねて断裁する際、どうしてもズレが出てしまいます。ズレが起こっても印刷上問題がないよう、印刷範囲より3㎜広く背景を足して印刷データを作成します。これを「塗り足し」と呼びます。

●解像度

印刷の際、画像がどれだけの密度でつくられているかを示す数値のことです。解像度が高いほどデータの密度が高くなり、データも重くなります。印刷には350dpi以上の解像度が必要になります。これを下回ると、線がギザギザになるなど、印刷時に画像が粗く見えてしまうので注意しましょう。

●保存形式・カラーモード

イラストデータはaiかTIFFかJPEGにてご用意ください。カラーモードはカラーのイラストはCMYK、モノクロの場合はグレースケールとしてください。

●モアレ(干渉皺)

アミ点が干渉しあって、別の模様になることを「モアレ」と呼びます。データを拡大・縮小したり、スクリーントーンを貼った原稿をスキャンしたり、トーンを重ね貼りすることで生じますが、原寸サイズでデータを作成いただくことで解決できます。

配信日:2024年5月24日

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